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コラム

事業承継税制(特例措置)を使うと相続税・贈与税はどうなる?①

相続税・贈与税

税制特例にはいろいろなタイプがあります。タイプ別に仕組みの簡単な順で並べてみると・・・

★税額控除:本来支払う税金がお安くなります。

★所得控除(損金算入):利益や所得の金額を減らしてくれます。

★繰戻還付:以前支払った税金が返還されます。

★納税猶予:納税を一時的に猶予、所定の場合に至ればその税金の支払いを免除します。

 

平成30年税制改正の中で、中小企業オーナー一族の皆さんが関心を抱かれたのは「事業承継税制(特例措置)」でしょうか?
この事業承継税制ですが、上記の中の「納税猶予タイプ」に当たり、複雑な仕組みとなっています。利用する局面としては、①中小企業オーナーの所有する株式を後継者へ「贈与」する場合、および、②「相続」が発生し、相続人が中小企業の株式を取得する場合です。以下この稿では、「特例措置」について記述しますので従来からある「事業承継税制(一般措置)」には言及しませんのでご留意ください。

< 贈 与 の 場 合 >

先代経営者から後継者への自社株贈与に伴い、経営承継円滑化法(以下「円滑化法」)に基づく都道府県知事の「認定」を受けた上でその後継者が当該自社株を継続保有しつつ代表者として会社を経営する場合には、後継者がその贈与により取得した株式(議決権のない株式を除く。)に係る贈与税は100%その納税が猶予される、これが「贈与税の納税猶予制度」です。なお、円滑化法の報告期間(原則として贈与税の申告期限の翌日から5年間)経過後は、その後継者が代表者でなくなることも認められます。

【 手続きの概要 】

(1)2018年1月1日から2023年3月31日までの贈与

先代経営者から後継者へ非上場株式等(自社株)の贈与をします。
後継者は一般措置の場合には20歳以上の推定相続人か孫でなければなりませんが、特例措置では20歳以上の者であればよく他人も後継者になれます。
手続きの初めとしてはまず、贈与の前後において認定支援機関(税理士・銀行等)と共に策定した会社見通し等を記載した「特例承継計画」を都道府県知事に提出して計画の確認を受けておきます。続いて贈与の年の10月15日から翌年1月15日までに、都道府県知事に対し「円滑化法の認定」を申請認定を受けた上で、所定の書類が添付された贈与税の申告書を2月1日から3月15日の期間に受贈者の所轄税務署へ提出するとともに、猶予税額とその利子税額に見合う担保を国に提供します。担保は納税猶予制度の適用を受けるその非上場株式の全部です。(株式に代わり、不動産、国債・地方債、税務署長が確実と認める有価証券、税務署長が確実と認める保証人の保証など国税通則法第50条に掲げる財産も担保として認められます。)
上記が基本的な手続きとなりますが、まずはその前に「会社」「贈与者」「受贈者」「所有株式数」それぞれについて下記のような要件を満たしている必要がありますので、適用に当たっては十分なチェックが求められます。

 

【主な要件】
① その株式を発行する会社は、上場会社・中小企業者に該当しない会社・風俗営業会社・資産管理会社(有価証券・自ら使用していない不動産・現金預金等の特定資産の保有割合が70%以上の会社、特定資産の運用収入が総収入の75%以上の会社)、医療法人でないこと。

② 後継者である受贈者は、贈与の時において、役員就任から3年以上を経過した会社の代表権を有する20歳以上の者であり、また、贈与後は後継者と後継者と特別の関係のある者で総議決権数の50%超の議決権割合を確保したうえで、その後継者グループ内で最多議決権を保有することとなること(後継者が2人または3人の場合には総議決権の10%以上の議決権を保有し、かつ、後継者と特別の関係がある者(他の後継者除く)の中で最多議決権を保有することとなること)。

 先代経営者である贈与者は過去に会社代表権を有し、代表者であった期間内のいずれかの時及び贈与直前において贈与者及び贈与者と特別の関係がある者で総議決権の50%超の議決権を保有し、かつ後継者を除いたこれらの者の中で最も多くの議決権を有していたこと、そして贈与時点で会社代表権を有していないこと。

④ 後継者が1人の場合において、贈与する株式数は発行済み株式総数の2/3から後継者が贈与直前に有している株式数を差し引いた数量以上の株式数であること(贈与直前において贈与者と受贈者の合計株数が発行済株式総数の2/3に満たないときには贈与者の持つ全株式数を贈与すること)。
また後継者が2人または3人の場合、贈与後の受贈者の保有株式数が発行済み株式総数の1/10以上となるよう、かつ、贈与後の贈与者の保有株式数が受贈者の保有株式数より少なくなるような株式数を贈与すること。

(2)2023年4月1日以降2027年12月31日までの贈与

(1)と異なる点は、「特例承継計画」の都道府県知事への提出期限が2023年3月31日までとされていることです。その他は上記(1)と同様です。なおこの特例措置は2027年12月31日で終了します