スマートフォン版に切り替える

コラム

事業承継税制(特例措置)を使うと相続税・贈与税はどうなる?②

相続税・贈与税

(①続)< 贈 与 の 場 合 >

【 手続き後~免除までの流れ 】

この制度を適用した贈与税の申告期限の翌日から、納税猶予期間が開始されることになります。円滑化法における報告期間(原則として贈与税の申告期限の翌日から5年間)は代表者として経営を行う等の要件を満たす必要があり、対象株式等は後継者において継続保有されることが求められます。

その後、最終的には贈与者(先代経営者)の死亡により贈与税の納税猶予期間が終了するとともに贈与税は免除されることになるのですが、一方でこの特例に係る受贈株式は、相続または遺贈により取得したものとみなされ、贈与時の時価で他の相続財産と合算のうえ相続税の課税の対象とされることになっています。この局面で相続税が多額になってしまうと事業承継に対する税制支援としては片手落ちですね。そこで都道府県知事の確認(「切替確認」)を受けることで、その「みなされた株式」について今度は「相続税の納税猶予(特例措置)」を受けることができる仕組みになっているのです。

また、受贈者が、特例経営贈与承継期間経過後に次の後継者へその非上場株式等を贈与し、贈与税の納税猶予を受けることによっても、初回の猶予されていた贈与税は免除される仕組みとなっています。

納税猶予期間中の義務としては、特例経営贈与承継期間中は毎年、その後の期間は3年ごとに一定の書類を添付した「継続届出書」を所轄税務署に提出しなければなりません。そして贈与者の死亡等があった場合には「免除届出書」・「免除申請書」を提出します。
また都道府県知事に対しては、円滑化法における報告期間(5年)中は毎年、報告基準日(贈与税の申告期限から1年を経過するごとの日)の翌日から3か月以内に事業継続の状況等についての報告書(「年次報告書」)を提出し、納税猶予を継続するための事業継続要件を満たしていることの確認を受ける必要があります。

上述のとおり、基本的には贈与者の死亡で贈与税の納税猶予期間が終了し税額納付が免除となるのですが、次のような場合にも納付が免除されることになっています。ただし、④⑤の際に免除される猶予税額には特別な計算規定が設けられています。すなわち譲渡対価を株式価値と考え、会社譲渡対価を基に贈与税額を再計算した税額と直前配当等の金額(譲渡等の前5年間に特例後継者及びその同族関係者に対して支払われた配当及び過大役員給与等に相当する額)との合計額が、当初猶予税額を下回った場合の差額部分に限り免除することとされ、再計算した税額は納付することになります。

[猶予税額の納付が免除される主なケース]
① 後継者(受贈者)の死亡    ② 特例経営贈与承継期間中、やむを得ない理由(下記※)から会社代表権を失った日以後の「免除対象贈与」の実施    ③ 特例経営贈与承継期間の経過後における「免除対象贈与」の実施    ④ 特例経営贈与承継期間の経過後における会社の破産手続き開始決定    ⑤ 特例経営贈与承継期間の経過後に事業継続が困難となって会社を譲渡・解散する場合

なお贈与税の納税猶予期間中における注意点として、次の(1)の場合には納税猶予税額の全部を、(2)の場合には納税猶予税額の全部または一部を、利子税と併せたところで納付しなければならないことになっています。

[猶予税額の納付をしなければならない主なケース(1)・(2)]
(1)特例経営贈与承継期間中
 ① 株式等を一部でも売却した場合   ② 後継者が代表権を失った場合※   ③ 会社が資産管理会社(前回コラム参照)に該当した場合  ④ 毎年、税務署に継続届出書を提出しない場合

※やむを得ない場合(後継者において精神障害者保健福祉手帳1級、身体障害者手帳1・2級、要介護5といった状況に至った場合)を除く。

(2)上記(1)の期間経過後
① 会社が資産管理会社(前回コラム参照)に該当した場合(全部納付)   ② 株式等を一部でも売却した場合(売却した部分に対応する税額を納付)   ③ 3年毎、税務署に継続届出書を提出しない場合(全部納付)