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コラム

事業承継税制⑤担保と”みなす充足”

相続税・贈与税

 

「みなす充足」とは?

 

 前回以前の解説の繰り返しとなりますが、贈与税の納税猶予の特例に係る贈与者(先代経営者等)が死亡した場合には、その特例を適用した非上場株式等は、相続又は遺贈により取得したものみなして、贈与時の価額により他の相続財産と合算して相続税の対象とされます。
そしてその相続の際、都道府県知事の「円滑化法の確認」を受け、一定の要件を満たす場合には、そのみなされた非上場株式について「相続税の納税猶予制度」の適用を受けることができます。
この場合には、相続税の申告書に「非上場株式等の特例贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除」の適用を受ける旨を記載しなければなりません。
またこの場合も、贈与税の納税猶予中と同様に、引き続き利子税を含む猶予税額に見合った担保を提供する必要があります。特例対象の非上場株式の全部を担保として提供すれば必要な担保の提供があったものとみなされる点は、贈与税の納税猶予の際の担保提供の考え方と同じです。
なお、この取扱いは「みなす充足」と呼ばれています。
なお、「みなす充足」の取り扱いが適用されなくなる事例としては次のようなケースがあります。

(1) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が合併により消滅した場合
(2) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が株式交換等により他の会社の法第70条の7第4項第6号に規定する株式交換完全子会社等になった場合
(3) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が組織変更した場合
(4) 担保として提供された特例非上場株式等である株式の併合又は分割があった場合
(5) 担保として提供された特例非上場株式等に係る認定承継会社が会社法第185条に規定する株式無償割当てをした場合
(6) 担保として提供された特例非上場株式等の名称変更があったことその他の事由により担保として提供された当該特例非上場株式等に係る株券の差替えの手続きが必要となった場合
(7) 担保財産の変更等が行われたため、特例非上場株式等のすべてが担保として提供されていないこととなった場合
(8) 担保として提供された特例非上場株式等について、措置法施行規則第23条の10第25項に掲げる要件に該当しないこととなった場合
※ 措置法施行規則第23条10第25項に掲げる要件とは、特例非上場株式等について質権の設定がされていないこと又は差押えがされていないことその他特例非上場株式等について担保の設定又は処分の制限(民事執行法その他の法令の規定による処分の制限をいいます。)がされていないことをいいます。

 

ちなみに利子税の計算方法ですが、贈与税または相続税の申告期限の翌日から納税猶予期限までの期間(日数)に応じ、本税に一定の割合を乗じて算出することとされています。その一定割合とは次のように定められています。

【利子税の割合】

[原則] 年3.6%

[特例] 各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に1%の割合を加算した割合(平成30年は1.6%、これを『特例基準割合』という)が7.3%に満たない場合には、その年における利子税の割合は、次のとおり。

利子税の割合=3.6% × 特例基準割合/7.3%