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コラム

相続人以外でも小規模宅地特例は適用できる?

相続税・贈与税

遺産に不動産がある場合の相続税において、税額に大きな影響があるのが「小規模宅地等の特例」(租税特別措置法69条の4)です。その内容を一言で大雑把に言いますと・・・・
「建物または構築物の敷地の用に供されている一定の宅地の評価を80%または50%減額することができ、その減額した金額をもって相続税の課税価格に算入する」という特例です。
この特例、被相続人が所有していた居住用宅地などを対象として適用できるケースは多いものの、平成15年、平成22年、平成27年、平成30年と大きく改正(小さな改正があった他の年もあります)を経てきたせいでその内容が複雑なのです。

特に注意すべきは、相続開始後にこの特例を使おうと考えたのでは「遅きに失する」ことがあるということです。相続開始前の被相続人と親族の同居状況など、生前にクリアすべき条件があり、まずは「生前」において適用要件を満たすよう「合格点」を採っておく必要がある、というわけです。
もちろん、「相続開始後の適用要件」と、これに加えて「相続税の申告期限時点の適用要件」といったものもあり、それぞれの時点における要件も加わってきますからますます慎重な対応が求められます

この特例をを受ける方は通常「相続人」であることが多いのですが、実は相続人だけではなく、親族も対象です。親族とは、①配偶者、②6親等内の血族 ③3等内の姻族 を言い(民法725条)、血族ですとヤシャゴのマゴ、甥姪のヒマゴ、ハトコ、イトコのマゴ、ハトコまで、姻族では義理の曽祖父母、義理の叔父叔母、義理の甥姪、ひ孫の配偶者、と結構な広範囲の親類が含まれます。また先妻の子と後妻(一親等の姻族)、といった関係も姻族なので要チェックでしょう。

こうした相続人以外の親族の方が小規模宅地の特例を受けるためには、それら親族の方へ「遺贈(死因贈与を含む、以下同じ)」が為されねばなりませんから、遺言や死因贈与契約が必須であるということにぜひ留意いただきたいと思います。

被相続人と生計を同じくしていたり、被相続人の療養看護に努めた人が、家庭裁判所の関与を経て遺産を受け取ることができる場合がありますが(特別縁故者、民法第958条の3)、この場合にはその遺産を「遺贈により取得したものとみなす」(みなし遺贈規定、相続税法第4条)こととになっており、取得原因が民法上の遺贈そのものでなないとの解釈から、小規模宅地の特例が使えないことになっています。
ひとり暮らしをする老人の増加が社会問題となる中、個人的な見解としては、一定の条件を付して特別縁故者にも小規模宅地の特例が使えるよう法律が改正されてもよいのではないでしょうか。

(菅家)