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コラム

軽減税率を導入したものの...

OPINION

2019年10月1日の消費税率アップと複数税率化に伴い、納税義務者すなわち一般には事業者(会社)は色々な対応に追われました。

食料品を売る事業者はレジの購入とレジ補助金の申請、会計ソフトの購入やバージョンアップ、新制度下における経費領収証に関する知識(理解)、消費税に直接関係しないけれど同時期にスタートした消費税ポイント還元事業への手続き、等々。

上記は税率アップに伴うものというよりは、主に「複数税率化」に伴うものです。

では、そもそもなぜ複数税率化にしなければならなかったの

政府は低所得者層へ配慮するため消費税を複数税化し、この税が持つ逆進性を緩和するという狙いで軽減税率制度を導入したということです。

でも、果たして政府が考えるように低所得者層の負担緩和となっているかというと必ずしもそうではない、という議論が多々あります。
高所得者は高い食材をたくさん買うため軽減税率の恩恵は高所得者の方が多額であるというのは言わずもがな、軽減税率実施に必要な財源を手当てするのための増税問題を抱え込んだかたちになり、そのうえ軽減税率適用範囲(線引き)が時の政権によりいつ拡大縮小するかわからず、計算や手続きなどの複雑さだけが増殖するうち税収効率が落ちていくという可能性が強く推測されるのです。実際、OECD加盟各国の報告によれば、単一税率で簡素な仕組みのニュージーランドと、複数税率のイギリスでは税収効率性に2倍以上の開きがあるようです。

以下は財務省の資料ですが、複雑化した消費税の仕組みを持つEC諸国が消費税の課税範囲や税率で紆余曲折、負のスパイラルに陥りながら税率25%への道を辿っていることが見て取れます。

主要国の付加価値税の概要

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.pdf

諸外国の消費税の標準税率の推移

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/103.pdf

単一税率で税収効率をグンと上げて「無駄・漏れ」を無くし、低所得者層へは何らかの「還付」「控除」で対応するほうが民意に沿うのではないかと私見ながら思っている次第です。
世界ではすでに消費税逆進性対策税額控除を実施しているいくつかの国がありますが、もし単一税率に戻るのなら、導入各国を参考にして日本独自の制度を作り上げてほしいものです。

多少話は異なりますが、国民が喜ぶ税制・インセンティブが働く税制、例えば台湾の宝くじを兼ねたインボイス、韓国のクレジットカード控除などを日本も研究し、国と国民双方が一体となって積極的に税制を練り上げる日が来ることを願ってやみません。