コラム

令和3年度税制改正(法人税制ーその2)

法人税

(9)研究開発税制~「試験研究費の額」の範囲の改正
本制度の対象となる「試験研究費の額」の範囲に、「試験研究費のうち、研究開発費として損金経理した金額で非試験研究用資産(棚卸資産・固定資産・及び繰延資産で、事業共用の時に、試験研究の用に供さないもの)の取得価額に含まれるもの」を追加。これにより、企業会計では費用処理した自社利用ソフトウエアに係る研究開発費で税制上では資産計上してたものを、「試験研究費の額」に該当するものとして研究開発税制を適用できるようになる。
また「リバースエンジニアリング」に関する試験研究費は、「試験研究費の額」から除かれる。
※リバースエンジニアリング→新たな知見を得るため等に行う試験研究に該当しない試験研究

(10)試験研究費の総額に係る税額控除制度の見直し(一般型、大企業向け)
税額控除率が以下の通り見直される(カッコ内は改正前)。なお、試験研究費割合が10%超の場合に措置された改正前からの控除率上乗せ措置は存続し、控除上限額については改正前の規定に加えて2年間限りの措置として上乗せ(基準年度比売上金額減少割合≧2%かつ試験研究費>基準年度試験研究費の場合に、改正前上限額に法人税の5%を加算)が措置される。

増減試験研究費割合>9.4(8.0)% の場合: 10.145(9.9)%+(増減試験研究費割合ー9.4(8.0)%)✕0.35(0.30)

増減試験研究費割合≦ 9.4(8.0)% の場合: 10.145(9.9)%ー(9.4(8.0)%ー増減試験研究費割合)✕0.175(0.175)

※基準年度比売上金額減少割合: (2020(R2)年2月1日前に終了した最終事業年度の売上金額(A)ー当期売上金額)÷ (A)
※基準年度試験研究費: 2020(R2)年2月1日前に終了した最終事業年度の試験研究費

(11)中小企業技術基盤強化税制( 試験研究費の額に対する税額控除、中小企業向け )
税額控除率と控除上限額が以下の通り見直される(カッコ内は改正前)。なお、試験研究費割合が10%超の場合に措置された改正前からの控除率上乗せ措置は存続し、上記(10)に既述した控除上限額上乗せ時限措置は本制度にても同様。
[税額控除率]
 増減試験研究費割合≦ 9.4(8.0)% の場合:  12.0(12.0)%
 増減試験研究費割合> 9.4(8.0)% の場合:  12.0(12.0)%+(増減試験研究費割合ー9.4(8.0)%)✕0.35(0.30)
[税額控除率]
 増減試験研究費割合≦ 9.4(8.0)% の場合:  法人税額の25(25)%
 増減試験研究費割合> 9.4(8.0)% の場合:  法人税額の35(35)%

(12)特別試験研究費の額に係る税額控除制度(OI型)の見直し( 大企業、中小企業共通 )
オープンイノベーション型の特別試験研究費の額の範囲の拡充(国公立大学・国立研究開発法人等外部化法人に係る共同研究・委託研究費用を追加、特別研究機関等の範囲に「人文系研究機関」を追加)する。一方で大学等に係る共同研究・委託研究は総見込額50万円超のものに限定する。また特定中小企業者等への委託研究の場合も、受託者において試験研究にに該当し研究の成果物が委託者に帰する委託研究に限定される。

(13)その他の中小企業関連税制
・中小企業者等の軽減税率の特例
中小法人の場合、課税所得年800万円超に対し23.2%、800万円以下に対し19%の法人税率が原則のところ、平成24年度より「19%」を「15%」としてきた特例措置の適用期限を、引き続き2年延長。(2023(R5).3.31まで)
・中小企業投資促進税制
 それぞれの取得価額要件を満たす機械装置・測定工具・検査工具・ソフトウェア・貨物自動車・内航船舶について、特別償却30%または税額控除7%のいずれか(ただし資本金3千万円超法人は税額控除不可)を適用できる制度。今回の改正で、指定事業を追加(不動産業、物品賃貸業、生活衛生同業組合組合員が行う料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ等)とともに、期限2年延長(2023(R5).3.31まで)
商業等活性化税制
適用期限(2021(R3).3.31まで)をもって廃止
・中小企業経営強化税制
中小企業等経営強化法の経営力向上計画内の一定資産につき、100%の即時償却または10%の税額控除(資本金3千万超1億円以下の法人は7%)が可能。今回の改正で期限2年延長(2023(R5).3.31まで)のうえ、特定経営力向上設備等の対象に「経営資源集約化説設備」を追加。
経営資源集約化説設備:計画終了時に修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画を実施するために必要不可欠な設備
改正後の概要は下図のとおり。

  A類型
(生産性向上設備)
B類型
(収益力強化設備)
C類型
(デジタル化設備)
D類型
(経営資源集約化設備➡ M&Aに伴う投資)
適用要件 経営力向上計画の認定/旧モデル比年平均1%以上改善する、販売開始後一定年数以内かつ一定額以上の設備 経営力向上計画の認定/年5%以上の投資収益率計画に係る一定額以上の設備 経営力向上計画の認定/遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする一定額以上の設備 経営力向上計画の認定/修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定異動上昇する一定額以上の設備
対象資産

機械装置:10年、160万円/測定検査工具:5年、30万円/器具備品:6年、30万円/建物付属設備:14年、60万/ソフトウェア:5年、70万円 機械装置:160万円/工具:30万円/器具備品:30万円/建物付属設備:60万円/ソフトウェア:70万円

国内投資に限る/中古資産でないこと/貸付資産でないこと

確認の担当者

工業会

経済産業局

・特定事業継続力強化設備等の特別償却制度の縮減
平成31年度改正で創設された制度で、事前防災・減災を促進する観点から中小企業等経営力強化法の事業継続力強化計画の認定を受けた一定規模の機械装置・器具備品・建物付属設備に関して20%の特別償却ができる制度。今回の改正で対象法人を、「特定中小企業者」から「R1.7.16~R5.3.31の間に中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画等の認定を受けた中小企業者」に限定し、特別償却率を20%から18%へ引き下げ。
対象資産から火災報知器・スプリンクラー・消火設備・排煙設備・防火シャッター、交付金を受けて取得したものを除外するとともに、対象資産用架台・無停電電源装置・感染症対策用サーモグラフィー・資本的支出に該当する資産を加える。