コラム

事業用宅地等に小規模宅地特例が適用できないケースとは?

相続税・贈与税

相続税の申告時に小規模宅地特例が使えないと相続税額に大きな違いがでてしまいます。
では・・・
Q:相続財産に宅地があればこの特例をうけられますか?
A:残念ながら答えは「NO」です。

小規模宅地特例はかなり複雑な法律であるため、この特例を確実に適用したい場合には、特例が適用可能となる典型的なケースに該当するようプラニングすることが賢明であると言えましょう。

この特例は対象となる宅地を「居住用」と「(貸付事業も含めて)事業用」に大別してその適用要件等詳細を定めていますが、ここでは、「事業用宅地」に絞って、特例が使えない要注意事例を掲載してみました。
宅地に幾多もの利用形態があることを踏まえ、個別事案の適用要件の検討に入る前にまず、絶対に適用不可となってしまう事例に該当していないかどうか、という予備的点検は重要です。 

(以下いずれのケースも宅地所有者の相続を想定しています)

ケース1:
宅地Aの所有者(以下「甲」)が、同一生計ではない親族(以下「丁」)所有の建物(A宅地に所在)を家賃を払って借り受けて事業を行っている場合において、丁が甲へA地の地代を支払っていない場合
→→→ 丁は同一生計者ではありません。被相続人とその同一生計者の生活基盤に不安が生じないよう設けられたこの特例には関係ない人物のうえ、丁との貸借関係は使用貸借にあたりますので甲にとっては事業用ではあり得ません。

ケース2:
甲の同一生計である親族(以下「乙」)が、丁所有の建物(A宅地に所在)を家賃を払って借り受けて事業を行っている場合において、丁が甲へA宅地の地代を支払っていない場合
→→→ この特例では甲と乙はおおむね同列に取り扱われており、ケース1と同じ考え方となります。

ケース3:
甲と一定の者が相続開始直前に議決権の過半数を有する同族法人(以下「丙法人」)が、甲所有の建物(A宅地に所在)を無償で借り受けて事業を行っている場合
→→→ 甲と丙との建物貸借関係は使用貸借にあたります。よって甲の事業用ではあり得ません。

ケース4:
丙法人が、乙所有の建物(A宅地に所在)を無償で借り受けて事業を行っている場合において、乙が甲へA宅地の地代を支払っていない場合
→→→ 乙と丙との建物貸借関係は使用貸借にあたります。よって乙の事業用ではあり得ません。また甲乙間でのA宅地の扱いも使用貸借です。

ケース5:
丙法人が、丙法人所有の建物(A宅地に所在)で事業を行っている場合において、丙法人が甲へA宅地の地代を支払っていない場合
→→→ 甲と丙とのA宅地の貸借関係は使用貸借にあたります。よって甲の事業用ではあり得ません。